お酒は美味しいし、楽しいもので、百薬の長とすら呼ばれます。けれども飲み過ぎは痛風の原因になるとも言われています。痛風は慢性化するおそれもある病気で、ひとたび発作が起こってしまうと関節を動かせないほどの激痛に襲われます。お酒との上手な付き合い方を考える上で、痛風のリスクを無視することはできません。カクテル好きの方のための、痛風対策をご紹介します。
目次
痛風とは?
そもそも痛風とはどのような病気でしょうか?痛風の原因となるのは尿酸であることが知られています。血液中に尿酸が過剰に溜まってしまうと尿酸が結晶化し、関節を中心に炎症を引き起こします。この炎症は激痛を伴うため、仕事など日常生活に大きな影響を与えてしまいます。現在では薬物を中心とした治療法が確立されており、適切な治療を行えば発作は収まり、健康に暮らすことができるようになります。しかし、症状を放置して、血液中の尿酸が高い状態が慢性的に続くと、症状が慢性化するだけでなく、尿路結石や脳卒中、狭心症など、様々な恐ろしい症状のリスクを増加させてしまうと言われています。痛風のリスクを減らすためには、血液中の尿酸値を上げ過ぎないことが重要であるとされます。尿酸値を上げてしまう原因物質として、プリン体が広く知られています。
カクテルとプリン体
プリン体は核酸、つまりDNAやRNAを構成する成分の一つで、人体にとってなくてはならないものですが、過剰に摂取することはかえって健康に害であるという説が有力です。お酒の中では特にビールに多く含まれる(9.4~9.5mg程度と言われます)プリン体ですが、カクテルではどうでしょうか?たとえばジンやウォッカといった蒸留酒に含まれるプリン体はごくわずか(0.0mg)であることが知られています。また、ワインにも含まれこそすれ、その量はビールと比べればわずかです(0.4mg程度)。そのため、ざっくりとした指標になりますが、ビールを使っているカクテルはプリン体が多め、蒸留酒主体のカクテルはプリン体が少なめであると言えます。
見逃せないおつまみのプリン体
しかし、いくらお酒に含まれるプリン体の量が少なくても、見逃せないのはおつまみに含まれるプリン体です。プリン体はDNAやRNAを構成する成分ですから、当然、細胞があればそこにプリン体も存在します。肉類は細胞の集まりですから、肉とプリン体は切っても切れない関係にあります。特に肝臓や白子などは細胞数が多く、プリン体を多く含むことが知られています。たとえば鶏のレバー串は一本あたり170mgのプリン体を含むと言われます。いくらお酒のプリン体を控え目にしても、プリン体を多く含むおつまみばかり食べていては効果がないばかりか、かえって悪影響と言えるでしょう。
アルコールそのものも尿酸値を上げる
また、プリン体ばかりが注目を集めがちですが、アルコールそのものが分解される過程でも尿酸値は上がると言われています。アルコールは最終的に酢酸にまで体内で分解されますが、その過程の化学反応で水を必要とします。そのため、お酒は水を飲んでいるようでいて、アルコールの分解に水を消費してしまうため、かえって体内の水分がなくなりやすく、体内の水分を維持しようとして腎臓は尿をつくるペースを落とそうとします。これによって、血液中の尿酸を尿として排出するスピードが落ち、血液中に尿酸が溜まりやすい状況を生んでしまいます。
痛風対策になる飲み方とは
お酒とおつまみの両面でプリン体対策を
プリン体は肉や野菜にも含まれるため、完全に排除することはできません。また、人体も一定量を必要とするため、完全に排除することはかえって不健康であるともいえます。しかし、過剰な摂取は害になると考えられているため、摂り過ぎに注意を払うべきです。お酒ならビール、おつまみなら肉類、特に肝臓や白子にプリン体が多く含まれます。そのため、ビールおよびビールを使ったカクテルの飲み過ぎ、肉系のおつまみの食べ過ぎには注意が必要です。蒸留酒に含まれるプリン体は確かに少ないですが、肉系のおつまみが合うからといって肉系のおつまみばかり食べていては意味がありません。
アルコールによる尿酸上昇にはチェイサーで対策
いくら蒸留酒はプリン体を含まないといっても、アルコールによる尿酸値上昇は避けがたいです。しかし尿酸は本来、尿によって排出されるものですから、尿を出すことが対策になります。アルコールを摂取すると、分解に水分を消費してしまうため尿が出にくくなります。適度にチェイサーを口にして水分を補給していれば、尿として尿酸を排出し、尿酸値上昇を抑えることができると考えられています。