カクテルとは基本的にベースとなる酒にいろいろなものを混ぜ、またはその組み合わせで成立する飲み物です。いざカクテルを作るとなると、分厚く大仰しいカクテルブックや多種多様な酒の知識を必要とされると尻込みされる方も多いのではないでしょうか。もちろん豊富な知識に裏付けされたきっちりとした理屈、理論で作られるカクテルは間違いなくおいしいものではありますが、カクテルは誰しもが楽しむことのできる飲み物です。作成者の想像力で色々なテーマを表現し、見た目にも味にも形に囚われることなく作ることができます。ここではその第一歩となるいくつかのコツを紹介したいと思います。
目次
スタンダードカクテルとの違い
カクテルは大きく分けて、「スタンダードカクテル」と「オリジナルカクテル」に分けることができます。しかしスタンダードカクテルというのははっきり定義の決まったものではありません。一般的に、「定番のカクテルである」だとか「有名なカクテルである」だとか「BARなどでよく注文されるカクテル」と言われるものがそうです。私の考える「オリジナルカクテル」の定義は自分のイメージに沿って独創性豊かに作るカクテルのことです。自分のイメージ通りにお酒を操り、そのテーマが完成された時は美味しさに加え達成感を味わうことができます。
カクテルで何を表現するか
まずは作るカクテルの方向性を決めましょう。例えば「手元にあるフルーツを使って爽やかでさっぱりとしたカクテルを作りたい」とか「体が疲れているので甘みの強いカクテルを飲みたい」とか「いつも飲んでいるウイスキーにちょっとアレンジを加えたい」であるとか何でも構いません。大事なのは着地点を見定めることです。バーテンダーがよく客に注文される「私をイメージしたカクテルを作って」の場合、その人がどのような味を求めているか、またその雰囲気や佇まいから香り、色味を決めたりします。
コツ1 スタンダードカクテルを変形させる
オリジナルカクテルを作る上で一番手っ取り早いのは、既存のカクテルを変形させることです。ベースとなるお酒を変えるのか、それに合わせる割り材(ミキサー)を変更するのか。そうするだけで多数の組み合わせが広がります。オレンジのミキサーを使うカクテルにはグレープフルーツを使っても味の方向性が大元から離れることは少ないでしょうし、ジンジャーエールの代わりにトニックウォーターを使えば苦味が増すでしょう。そうやって1アレンジをすることでオリジナルカクテルを作る感性を鍛えることができます。
コツ2 カクテル黄金比
ショートカクテルを作る場合、黄金比というものが存在します。ベースとミキサーを1:1、もしくはベース、ミキサーA、ミキサーBを2:1:1とするパターンです。ミキサーがノンアルコールの場合、出来上がったオリジナルカクテルはベースとなるお酒の半分の度数のカクテルとなります。これは「ホワイトレディ」「バラライカ」「XYZ」など定番のカクテルでも使われる比率です。
コツ3 種類、イメージ別に合わせる
リキュールやスピリッツにはカテゴリが存在します。リキュールにおいてはフルーティーな「果実系」、スパイシーで香り高い「薬草・香草系」、クリーミーでコクの強い「ナッツ系」といったように味を大別することができます。また、それぞれには味の背景に、製造の歴史やイメージがあります。パッションフルーツのリキュールには南国系のものが合うので、ベースをラムにしてもいいでしょうし、南国で採れるフルーツのものやココナッツなども合わせやすいでしょう。
コツ4 色味を整える
絵を描く時に、自分の作りたい色を作るのに絵の具を混ぜすぎて残念な色になったことはありませんか。色味のついたリキュールやミキサーを使う際には色の組み合わせには注意が必要です。色を混ぜすぎるとあまり食欲をそそらない色になってしまいますので、最初のうちは透明なものを使うとよいでしょう。
周りのオリジナルカクテルも参考にしてみて
こうしている間にも世の中にはオリジナルカクテルが生まれ続けています。バーテンダーが参加するカクテルコンペには非常に芸術的で独創的なカクテルが多く出品されます。日本庭園のようなカクテルや火のついたカクテルまで個性的なものばかりです。それほどまでにオリジナルカクテルとは自由で何事にも囚われない楽しみが含まれているのです。